分科会E+総合セッション

NPO法人福岡パフォーミングアーツプロジェクト(FPAP)
リージョナルシアターが地域を超える日
演劇が身近な存在になれば、アートも近くに見えてくる

総合セッション
「なぜ、いまアートなの? アートの力、アートの社会的価値を考える」

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総合セッション

※「舞台は高級クリニック、パネリストは著名なカウンセラー」という設定で行われた総合セッションは、分科会企画運営団体の代表者が、フォーラム応募の動機となった問題意識や参加者と共有したい課題、分科会実施後の思い等を2分程度でプレゼンし、パネリストが感想やアドバイスを述べるという内容。なお、代表者は「分科会実施前の問題意識」も事前に“カウンセラー”に提出している。
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総合セッションでの分科会代表者のコメント

分科会Eでは、1)演劇の「巡演」(=各地域に回っていく旅公演)を有効に設立させるために、劇団等の表現する側・劇場等の受け入れる側それぞれに必要な条件は何か、2)演劇の巡演にあるアートの力とはどのようなものか、という2つのテーマで議論を進めた。
前者については、各地の事例から演劇の巡演が成立する条件を洗い出せた。 後者では、他地域の人が別の地域に来て活動を行う巡演には「他者の受容、多様性のある社会の実現」というアートの力があると仮定した上で議論。出演者の話から、巡演によって表現する側も受け入れ側も変わる、地域を見直すきっかけになる、社会が変革する姿が見えてきた。演劇の巡演によるアートの力を確信した。

(NPO法人FPAP事務局長 高崎大志)

映像記録

※推奨環境:映像はFLV(Flash Video)形式です。ご覧いただくには、Macromedia Flash Player が必要です。
※出演者の所属はフォーラム開催時のものです。

レポート

チラシ

※画像をクリックするとダウンロードできます。 (PDF : 875KB)

参加者

82名

内容

司会の荻野さんからのイントロダクションのあと、まずは4名のパネリストから現状報告がありました。
  • 斎藤ちずさん(NPO法人コンカリーニョ理事長)からは、2004年:水と油「スープ」(札幌)/2005年:流山児☆事務所「ハイ・ライフ」(札幌)/2006年:指輪ホテルレジデンス公演「Please Send Junk Food in HOKKAIDO」(札幌)の事例について。
  • 詩森ろばさん(風琴工房主宰、TOKYOSCAPEフェスティバルディレクター)からは、「TOKYOSCAPE」(東京・京都)の事例について。
  • 井神拓也さん(ヨーロッパ企画制作)からは、2006年の「ブルーバーズ・ブリーダーズ」公演(東京・京都・福岡・札幌・大阪・米原・福山)の事例について。
  • 谷瀬未紀さん(ピカラック)からは、2004年:少年王者舘 KUDAN Project「真夜中の弥次さん喜多さん」(名古屋→北九州)/2005年:水族館劇場「月と篝り火と獣たち」(東京→北九州)/2006年:アリノネ「新しい天使」(広島→北九州)の事例について。




【ケーススタディ】 office-over.「ウエストヴァージニア州立大学最期の学内放送」

事例報告のあと、仙台の制作者・森忠治さん(tripod)より仙台発の企画についてのケーススタディ報告が行われました。


  • 仙台: 仙台市宮城野図書館・館内でのワークインプログレス公演(主催 仙台市)
  • 大阪: 一人芝居フェスティバル「in→dependent theatre PRODUCE #09 “INDEPENDENT:06” 2nd Season」参加公演(主催in→dependent theatre) ※全12作品の一つとして上演
  • 福岡: 「火曜劇場ファイナル」参加公演(主催:福岡市文化芸術振興財団、NPO法人FPAPほか)
  • 広島: 南区民文化センター アーツマネジメント活性化事業「劇×魂B.E.a.T.シリーズⅤ」(主催「劇×魂B.E.a.T.」制作実行委員会ほか) ※ゲキコンビナートプレゼンツ「最期の授業」と2本立て上演
このケーススタディをもとに、各パネリストから巡演をおこなうにあたり、発信する側と受け入れる側で必要なことは何かや、課題やそれを克服するために工夫していることなどが具体的に語られました。
またその話の中で、巡演をおこなう意味などが討議されました。

その中でキーワードとなったのが「コミュニケーション」。

演劇という「コミュニケーションによって創り上げられ、役者と観客間のコミュニケーションによってはじめて成り立つアート」の持つ社会的な力が語られました。 演劇には、コミュニケーション力があるいは退化してきた現代にコミュニケーションを回復する力を与える可能性があるということ。そしてその力が最大限にいかされる「巡演」の可能性について、短い時間ではありましたが、具体的な実例をもとに検証できたのではないかと思います。


アンケートより(抜粋)

  • 現場の生の声が聞けておもしろかった。
  • パネリストの熱く積極的な意見にひきこまれた。
  • 演劇の素地があまりないような地域でも、こうして受け入れの演劇が行われることが多くなると、日本が変わっていくような気がする。
  • あまり演劇とは関係ない活動をしているのですが、かかえている問題に共通点を感じた。
  • 各地域ごとの特徴、文化の違いとカンパニーへの影響力を改めて感じた。
  • 巡演先に実行委員会ができて新たなコミュニティのつながりができるという話が、非常に興味深かった。
  • 「演劇の魅力はこれだ!」と言えることがすごいと思った。
  • これまで経験ないユニークな劇団のとりくみや苦労が具体的に学ぶことができて感動した。
  • 商業劇団にない意欲がそれぞれの当事者から悟られ、深く共感する場面がたくさんあった。
  • 今回、演劇について無知のままお話をうかがったが、非常に多くのことを学んだ。
  • 演劇が社会的なアートで価値があるということを改めて感じた。
  • 時間が足りずもったいない。より「地域」という視点からのディスカッションを聞ければと思った。
  • 作り手どうしの話以上のもの、演劇が一般の人に与えるものやその可能性をもっと聞きたかった。
  • 制作実務のお話が聞けることを望んでいたが、意外に少なかった。
  • 質疑応答の時間がほしかった。他分野の方の意見への回答も聞きたかった。
  • 演劇人の現状をみるにはおもしろい企画だったと思うが、いまいちテーマに踏み込みきれなかったのが残念。


当日配布資料


文責:NPO法人FPAP

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