分科会C

子どもとアーティストの出会い
いま、教育現場に必要なアートとは?
アーティスト・イン・スクールのこれまでとこれから
※トヨタ・子どもとアーティストの出会い関連企画

めまぐるしく変わる社会に対応した授業を行うため、教育現場ではさまざまな新しい取り組みが行われている。アーティストが小・中学校等に出かけていって、子どもたちや先生とともに活動する事業(アーティスト・イン・スクール)がある。アートを授業に取り入れることは、子どもたちの個性を引き出し(自己表現力を高める)、多様性を受入れ(他者理解の促進)、コミュニケーション能力を高めることに効果があると教育関係者の注目を集めている。各地域における教育状況と対照させながら各団体が取り組んできたアーティスト・イン・スクールの活動を報告し、それぞれの地域において「教育現場や子どもたちが抱える課題にアート(アーティスト)がどのような役割を果たしてきたのか」を考える。さらに、今後大きな変化が予測される学校教育にアートが果たしていく役割について、文化・芸術と教育の両面から考え、またそれらを実現していくために必要なもの(インフラや情報、ネットワーク、システム等)について意見交換を行う。

■子どもとアーティストの出会い [ホームページ
2004年4月、京都で発足。アートによって豊かな教育環境をつくりだすこと目的に、小中学校や児童館など子どものいる現場にアーティストを派遣し、ワークショップによる教育活動を展開している。事業内容は主に、小・中・高等学校の授業におけるアーティストのワークショップのコーディネート、アーティストによる子ども向けワークショップの企画・制作、教員・保護者を対象とした、教育現場とアートの関わりを考えるための研究会の開催など。

パネリスト

漆 崇博 (うるし たかひろ)
NPO法人S-AIR アーティスト・イン・スクール担当
2002年宮城教育大学大学院を修了。在学中、仙台市内においてさまざまなアートプロジェクトを企画・実施する。2003年より、NPO法人S-AIRでアーティスト・イン・スクール事業のディレクションを担当し、現在に至る。

大澤 寅雄 (おおさわ とらお)
NPO法人STスポット横浜 事務局長
1994年慶應義塾大学卒業。その後、劇場コンサルタントとして公共ホール・劇場の管理運営計画や開館準備業務に携わる。2003年、文化庁新進芸術家海外留学制度により、アメリカ・ワシントン州でNPOによる劇場運営について1年間の研修を行う。現在、NPO法人STスポット横浜の理事及び事務局長を務める。
・NPO法人STスポット横浜[ホームページ

古賀 弥生 (こが やよい)
アートサポートふくおか 代表
「誰もが身近に芸術文化を楽しめる環境づくり」を目的に、芸術家を学校・地域に派遣するコーディネートや芸術体験ワークショップ講師・コーディネーターの養成などに取り組む。福岡県芸術体験講座コーディネーター。(財)地域創造 公共ホール音楽活性化事業アシスタント・コーディネーター。文化政策学博士(京都橘大学)。
・アートサポートふくおか[ホームページ

坪井 香保里 (つぼい かほり)
NPO法人芸術家と子どもたち 事務局長
「芸術家と子どもたち」ではアーティストと子どもたちの「出会いと創造の場」の創出をコンセプトに、エイジアス(ASIAS:Artists' Studio In A School)の活動などに取り組む。エイジアスは、小学校にアーティストが出かけていって教員と協力してワークショップ型の授業を行うプロジェクトで、2000年から開始、これまでに約1万人の児童が参加した。また、廃校となった中学校「にしすがも創造舎」を活動拠点に、地域住民を巻き込んだアート・プロジェクト(ACTION!)を2004年から展開、子どもとアーティストが一緒に創作したダンス公演「踊る!すがも地蔵通り!!」などを実施した。プロジェクトに参加するアーティストのジャンルはさまざまだが、おもにダンスや音楽ジャンルのアーティストを担当している。

平良 亜弥 (たいら あや)
NPO法人前島アートセンター トヨタ・子どもとアーティストの出会い in 沖縄 担当
1981年沖縄県生まれ。2005年琉球大学教育学部卒業後、NPO法人前島アートセンター事務局就任。「トヨタ・子どもとアーティストの出会い in 沖縄」を担当。

秋田 喜代美 (あきた きよみ)
東京大学大学院教育学研究科教授
東京大学大学院博士課程修了、博士(教育学)。専門は学校心理学、発達心理学。人が育つ制度的な教育の場に関わり一緒に考え作るアクションリサーチを行っている。主な著書に『子どもを育む授業作り』(岩波書店)、『授業研究と談話分析』(放送大学出版会)など。

司会

井手上 春香 (いでがみ はるか)
子どもとアーティストの出会い 代表
2003年「トヨタ・子どもとアーティストの出会い 2004 in 京都」実行委員会への参加を経て、2004年4月NPO「子どもとアーティストの出会い」を発足。関西の小・中・高等学校や児童館におけるワークショップのコーディネート、教育とアートの関わりをテーマとした教員・保護者向け研究会等を企画運営。

アートの力、こう考えます!

アートは人々の想像力・創造性を高め、コミュニケーションの機会を創出するツールとして社会的価値を持つ。いじめや不登校問題などの背景には、子どもたちの想像力・創造力・コミュニケーション能力の欠如や、子ども同士、子どもと大人たちのコミュニケーションの不足がある。授業で感受性を高め、創造的な活動を行う機会が不足していることも大きな要因。アートによるワークショップは子どもたちの想像力を高め、表現活動によってコミュニケーションの機会を創出するなど、子どもたちの豊かな学びや他者理解の促進に有効に機能。今後、多様性や自他の個性を認めあい、高い創造力を持つ子どもたちを育てていくために、アートの力は不可欠!

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