応募動機・現在抱えている課題
提案する企画を通じて改善したいアートマネジメント環境の基盤など
背景
近年、国の掲げる「コンテンツ立国」に基づくコ・フェスタの開催など、コンテンツ産業への援助は比較的積極的に行われています。しかし、具体的にその内容を見ていくと、あくまでも輸出産業としてのアニメ・ゲームコンテンツビジネスとしての形を想定された産業支援が多いのが現状です。
一方、山村浩二さんらを教授に迎えた東京芸術大学大学院でのアニメーション専攻コースの設立など制作者への教育環境面での改善もみられます。
ただ、一般的には、山村浩二さんのような個人の映像作家による総合芸術としてのアニメーション表現は未だに知られておらず、コンテストや上映会、WEBサイトで散発的にしか観ることが出来ません。
現在、アニメーション表現は最も同時代的な表現方法の一つとして非常に活性化している分野であると考えており、その基盤整備の必要性を痛感しております。
こうした考えのもと、継続的に上映イベントの開催や教育分野での上映や講義を行っております。しかし、この方法は作家間の交流とコアとなるファン層への一定の訴求効果はありますが、一般に向けた分野としてのアートアニメーションの認知向上・文化としての定着のためのシステムとしてはあまりに非効率です。
マネジメント方法
映像メディアの複製芸術としての特性を生かし、限定的な上映権を含めDVDなどパッケージ制作を行います。
各種教育機関・図書館・一般向けに販売を行うことでイベント上映という時間と場所を限定した“点”での展開から各地に広く散らばる“面”として展開し、さらには場所と時間の両面から、立体的に自主制作アニメーションを普及していきます。それぞれの施設において上映していくことで、映像文化としてのアニメーションを広く知ってもらいたいと考えています。
また同時に、アートアニメーション制作者の経済的な支援をパッケージや作品関連グッズの製作販売により行っていきます。
さらに上記に加え、自主制作アニメーションは作品を作家個人が保管する場合が多く、今後散逸してしまうおそれがあります。これを大学、図書館、愛好家などにパッケージとして保管してもらうことで、長期的には分担されたアーカイブ化としての効果もあります。
趣旨・重点テーマ
目標、なぜ今この企画の実現が必要なのか等
自主制作により制作されたアートアニメーションの持続的な発展手法の構築を主たる目的とする。そのための手段として、優れた作品を集めてパッケージ化し、公共性の高い機関に対する販売とイベント連動による草の根的な販売をおこなう。作家へは経済的な支援を行ない、受け手側にはより広い範囲での認知と理解を訴求していく。
作家自身がパッケージ販売をおこなうのは、マーケティングや営業活動などの時間的な負担も大きく、経済的にも負担となる。また、自主制作のアニメーションがジャンルとして認知されていないため、わかりやすく紹介する意味でも一種の編集的な視点でのディレクションが必要だと考える。
また、音楽におけるインディーズCDレーベルのように映像レーベルの成功に繋がれば、それ自体が先行事例となり、さらなる活性化にも繋がる。
目的
- 優れたアニメーション作品の文化的な価値を広め、一般への認知を高める
- コンテスト入賞賞金以外での作品への対価がない各作家への経済的支援
- 流通による制作の動機付け(モチベーションの向上)と後続への教育効果
- 図書館、大学などにおけるアーカイブ化による作品の文化的な資産化・保存として