私は2010年に骨肉腫という病気で、それまで積み重ねてきた人生が完全リセットされて、日常の景色が一変しました。2020年、新型コロナウイルスが猛威をふるい、自宅で過ごす時間が多くなってきた頃に、どこかあの2010年の経験を追体験しているような気持ちになりました。原因は違えど、当たり前が当たり前でなくなることで、身の回りのあらゆることが愛おしく感謝の気持ちでいっぱいになる、そんな日々です。私がこのエピソードを語ると、「わかる!」「私も同じ!」と共感してくれる方々がいます。その多くは、難病を患った方や病気や事故で障害を負った方々でした。自分の力ではどうすることもできない状態に陥り、不自由さや不便さを強いられながらも、自分なりの生き方を創造し、強くしなやかに生きている人たちです。そんな彼ら彼女らが、新しく創造的な時代を切り拓くリーダーに違いないと、私はずっと信じています。それはきっと、文化芸術の世界でも。