舞台をつくる人間にとって、幕は開くものであり、開けなければならないもの、と日々心に刻んで生きているものの、2020年のパンデミック下においては、幕は開けられるのか、という問いの中で過ごし続けた1年でした。
ダンスの舞台裏に携わること20年程。活動はマイペースながら、アルファルファの軸には舞台芸術があり、様々なアーティストやスタッフたちと作品をつくって公演を行い、普通に暮らす人たちの日常に、豊かな時間を届けたいという思いがあります。集えない、近づけない状況下で、表現活動は大きく制約を受けました。今はできることを考え、知恵を寄せ合いながら、ミニマムな舞台づくりを続ける一方、オンラインで学んだり様々な人たちと知識を共有したりして過ごしています。
 非常勤先の大学では、沢山の学生たちが文化や芸術は必要だというメッセージを送ってくれました。コロナ禍2年目の春が始まります。オンラインで舞台やアートに触れ始めた若い人たちが、コロナ後の世界で劇場に足を運んでくれることを願いつつ、舞台芸術のサポートを粛々と行う日々が続きます。