アートで人を育てよう!
開催日: | 1998年10月 24・25日 |
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開催地域: | 千葉 |
会場: | 千葉市美術館 |
ジャンル: | 美術 |
参加者数: | 146人 |
コーディネーター: | 川村記念美術館 林寿美 |
本セッションのテーマ「アートで人を育てよう!」は、ふたつの意味をこめて設定したものである。まずは、「人間が豊かな人生を送るためにもっとアートを楽しんでもらおう!」というメッセージ。そしてふたつめは、「アーティストというつくり手あるいは作品そのものと、鑑賞者という受け手をつなぐための〈担い手〉を積極的に育てていこう!」というメッセージである。この「担い手」が誰かを考えた時、まずはギャラリー・トークを担当する美術館ボランティアが筆頭に挙げられることが常だが、本セッションではこれに限らず、美術に携わる仕事の可能性を幅広く探ることをねらいとした。すなわち、第一のメッセージを基本姿勢として、第二のメッセージをさまざまな角度からとらえることが、本セッションの趣旨となったわけである。よって、レクチャーの講師には、現職の学校の先生、例年野外彫刻展やコンサートなどの各種イベントを境内でおこなっている寺の副住職、美術館でボランティア教育に携わった学芸員と他分野の方々にお願いすることにした。
参加者は70名余り。県内でアートに携わる仕事にすでについている方々、美術館教育を専攻している学生、学校関係者、作家、美術館ボランティア、美術館学芸員など、講師の顔ぶれに応じたメンバーが集まった。参加者人数が適当であったせいか、あるいは各講師がそれぞれ情熱的に生の声で語ってくれたせいか、セッションが進むうちに講師と参加者の間の垣根が取り払われ、会場全体がひとつの目的意識をもっている空気に包まれていったのはしごく幸いであった。つづく2日目の公開シンポジウムとワークショップ「ギャラリー・トーク」でも、参加者による活発な発言が印象的であった。
千葉らしさや首都圏におけるアート活動を追求したわけではなかったものの、それまではただの顔見知り程度にすぎなかった本セッション実行委員会のメンバー9名が、お互いの考えを再認識することができたこと、さらにはその輪が参加者全員にまで広がったことが、千葉でのアートをめぐるネットワークづくりにおいて、大いなる一歩をしるしたのはまちがいないだろう。今後の具体的なプロジェクトへの発展を、次なる課題としたい。
[川村記念美術館学芸員 林 寿美/99年7月]