アートマネジメントの実験
開催日: | 1997年11月21・22・23日 |
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開催地域: | 仙台 |
会場: | 仙台市青年文化センター・エッグホール |
ジャンル: | 美術 |
参加者数: | 132人 |
コーディネーター: | 宮城教育大学助教授 新田秀樹 |
仙台は、美術の分野に限ってみれば「発信」が得意な街ではない。はじめは実行委員会でも仙台近辺で美術系の「アートマネジメント」へのニーズが一体どれくらいあるものなのかつかみきれなかったのだが、ふたを開けてみると60名をこえる応募者があった。こうした企画に期待感をもつ一定の層があることがわかっただけでも講座のひとつの成果といえるだろう。プログラムには仙台ではあまり知られていない他県のアートプロジェクトや「光州ビエンナーレ」のような国際的事例を数多く取り入れたこともあってかおおむね好評で、このような企画があればまた受講したいという希望が多かった。TAM自体が一過性のイベントで終わってしまうのでは惜しい気がする。こうした関心を将来にどうつないでいけるかが今後の課題だろう。
美術館などの組織によらずにまったくの個人の集まりで実施したこの講座は、その運営自体が「アートマネジメントの実験」だった。できれば「芸術文化関連のNPOのつくり方」をメインテーマとしたかったのだが、準備不足もあって、個別のノウハウ紹介と組織論の中間あたりにとどまったといえるかもしれない。これからはTAMのような啓蒙的なアートプロジェクトの実施母体ともなりうる恒常的な非営利組織が地域にできればいいと思う。ようやくNPO法も実現した。この講座が刺激となって、「受講者」から「実行者」に立場を変えて、積極的に他地域とネットワークづくりをしながら、仙台の文化環境をつくっていくことに興味をもつ人たちが増えてくることを期待したい。
[宮城教育大学助教授 新田秀樹/98年7月]