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指定管理者制度とは

 最近、公立文化施設でよく聞く「指定管理」という言葉、どのような内容のものかご存知でしょうか。それまでに公立文化施設の運営を行っている側からすると、何やらとんでもないことが起きて、文化施設の運営に関して悪い状況が突如として襲ってきているように語られることが多いと思います。「指定管理になってたいへんだ」あるいは、「指定管理になって厳しくなった」といういい方がされるようです。そのような部分があるのも確かですが、見方を変えると、決して捨てたものではないものでもあったりします。何がたいへんで厳しくなったのかも含めて、この制度をみてみたいと思います。

 正式名称「指定管理者制度」は、地方自治法という法律が改正されて導入された制度です。これは地方自治体(都道府県や市町村)が設置した「公の施設」すべてにあてはまる制度です。したがって国の施設は該当しません。私たち公立文化施設と馴染みの多い人間とすると、これは公立「文化施設」にだけ導入されたもののように思われますが、違います。「公の施設」というのは、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供する施設」のことをいいます。福祉などというと、介護やら医療の仕事かと思いがちですが、この福祉というのは幸福と同じ意味だと思っていいと思います。つまり、地方自治体は、住民の幸せが増進するように、住民に利用してもらうためにさまざまな公共施設を建設しています。たとえば、病院、学校、保育園、市営バス、市道等々さまざまです。これらを総称して「公の施設」といい、美術館や文化会館もこの範囲に含まれるものです。

 これら、地方自治体が設置した「公の施設」は、以前は地方自治体が自ら直接運営する(直営)のが当たり前でした。つまり、公の施設の運営は、それを設置した地方自治体の職員である公務員が行っていたということになります。しかし、それが、やはり地方自治体が設置した財団や事業団といった準公共団体、自治会や、○○市文化振興財団といった名称を聞いたことがあるかと思いますが、そのような団体に管理を委託することができるようになったのが指定管理者制度が導入される前の段階です。それが、民間の営利を追求する団体や組織にまで拡大したのが、指定管理者制度ということになります。つまり、地方自治体という公共団体が設置した施設ではあるのですが、運営については、徐々に規制緩和が進んで、誰でも、設置した地方自治体の議会に「指定」されれば、運営に参画できるようになったというのがこの制度の概要です。ただし、何が何でも民間に運営させるというものではなく、いまでも直営でも構いません。この制度の趣旨は、公の施設の運営をもっとも適切に行うことができる者を選ぶことが目的です。「もっとも適切に」ということはどのようなことでしょうか。病院を運営する場合、医師や看護師、そして医療設備や器具を確保して適切なサービスを提供することが求められます。とりあえずここでは公立の文化会館をもっとも適切に運営できるのは誰でしょうか。またそれは、どのように指定されるのでしょうか。実はそのやり方については、それぞれの地方自治体に任されています。したがって隣り合った地方自治体であっても、そのやり方はまったく異なっていても許されるという制度です。

(2013年1月8日)

指定管理者制度入門 目次

1
指定管理者制度とは
2
指定管理者制度導入の背景
~規制緩和と地方分権
3
文化施設の運営の問題点
4
指定管理者の運用について
5
次のステップへ
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