大事な動詞は、"askとthank!"
はじめに、askありき
企画は自分たちだけでつくれたとしても、その実現・実施のためには、その先に多くのハードルが立ちはだかるはずです。場所、機材、出演者、専門スタッフ、広報、ボランティア、資金...必要なものばかりです。当然、さまざまなセクターの多様な主体や担当者の方々に、いろいろな支援や協力をお願いすることになるでしょう。しかし現実には、お願いを快諾してくださることのほうが少ないだろうと思います。
この失敗から何を学ぶのかによって、その後の活動のあり方に大きな違いが出てくるのです。もし、お願いを断られたら、きっと誰でもがっかりしてしまうはずです。そこで、ただ諦めてはいけないのです。自分たちの今回の提案やお願いの内容のどこに問題があるのか、なぜダメという判断をされたのか、その理由や判断の基準を今後の参考にぜひ教えていただきたいと、お願いするのです。そこで、こういう点が不足しているとか具体的な指摘やアドバイスをもらえれば、その条件をクリアすることで次のチャンスが生まれるかもしれません。また、その不足や弱点を改善して提案書をバージョンアップすれば、確実にみなさんの提案力や説得力は向上していくはずです。
askには、2つの意味があるのです。1つ目は、"お願いすること"それがなくては何も生まれませんから。そして2つ目は、OKが出ても断られても、その理由を"尋ねること"です。どこが良くて、どこが悪いのか、その経験知を次の作業に生かしていくのです。そういうタフな気持ちと姿勢なしには、新しい活動やプロジェクトを立ち上げ、実現していく力を高めていくことはできないでしょう。
さらに大事なのは、thank
自分たちの活動やプロジェクトに、支援や協力、そして参加してくださった方々に、その成果を報告し、そこでの感動や共感を記憶してもらって、次回へとつなげていく努力は当然のことながら大切です。しかし、意外に忘れがちなのは、先述した、協力をしてくださらなかった方々への報告と感謝です。断ったとしても、その理由や未熟なポイントを教えてくださった方々には「今回は協力いただけなかったけれども」ここまでは自分たちでできましたという報告を、教えていただいたことへの感謝と共に送るべきです。そして、その活動やプロジェクトに興味や関心を示されなかった方々にも、報告はきちんとすべきではないでしょうか。将来、どのようなご縁が生まれるかもしれませんし。先方がたまたま興味を示されなかったテーマでも、それが数多くの参加者を集めたという事実を目の当たりにすれば、そのテーマに対する興味や関心が高まる可能性も出てくるはずです。
つまり、thankは、その活動やプロジェクトの実現の過程でかかわったすべての人々にきちんとなされるべきで、そういう感謝の気持ちのフィードバックが、心と心のつながりを、より強くより深くより広くしてくれるのだということを、忘れてはならないと思います。
とにかくask、何があってもthank。そのへこたれない精神がさまざまな壁を乗り越えていく原動力になるのです。
みなさまの健闘をお祈りします。
(2013年10月10日)
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