どうすれば、"多くの人に、伝わるの?"
どう伝えるかの前に、「誰に、何を」を再確認
自分たちが企画したプロジェクトや、プログラムの目的や意義をはっきりさせること。つまり、どんな人たちに向けて、どんなメッセージを発信したいのか。その「誰に、何を」が決まれば、おのずと「どうやって」が見えてくるはずです。
まず、「誰に」が多数なのか少数なのか、子供なのか大人なのか、あるいは親子一緒なのか。アートに関心がある人に呼び掛けたいのか、全く興味のない人たちにこそ広く関心を持ってもらい、参加してほしいのか。
参加者に向けたメッセージのつくり方は、第3回で述べた支援者へのお願いのしかたと全く同じです。要は、そのイベントやプログラムに参加することによって、参加者がどのようなご利益(メリット)を得られるのかということです。それが参加者のいちばんの動機づけになるはずだからです。自分たちの志や想いを持ちつつも、あくまで参加者にとっての「行きたくなる理由、参加したくなる理由」を明快に訴えていくこと。逆に、いくら企画スタッフの間で話し合っても、参加者にとってのご利益やメリットがはっきりしないようなイベントやプログラムには、それを実施する価値がないということになります。
伝えたいことに、大胆なメリとハリを!
たとえば、そのイベントやプログラムの紹介チラシをA4タテ1枚でつくることを考えてみましょう。
イベントやプログラムのタイトル、開催の主旨、内容紹介、開催日時、開催場所、料金、主催団体名、団体の紹介...などなど、ついついいろんな情報を入れたくなってしまいます。しかし、考えみてください。参加者の心をいちばん動かす情報が、参加者が得られるご利益やメリットだとすれば、情報の整理=デザインやレイアウトもそれに合わせて大胆なメリハリをつけるべきでしょう。つまり、まずA4の2分の1の面積を、そのご利益やメリットを伝えるためだけに使えばいいのです。たとえば、
『こんどの日曜日1日だけ、あのきれいなお花畑公園が、たのしいお絵書き公園になる!』
こんな感じで大きく使い、残りの情報はきちんと整理して、あとの2分の1の面積に、小さな文字でまとめてみましょう。こういう情報は、1か所にまとまっている方が逆に読みやすいものです。
つくること以上に大切なのは、どう配るか
チラシやポスターづくりに一所懸命になっている人に限って、どのような人たちに、どこで、どうやって手渡すのかを、考えていなかったりします。コミュニケーションは、相手にまずその情報が渡ることが大前提です。町内なら人の集まるコーヒーショップ、主婦対象ならスーパーマーケットの掲示板、駅の掲示板や駅前にある銀行のショーウィンドウなども、意外に人々の目につくメディアかもしれません。もっと、多くの人に伝えたければ、新聞社などのマス・メディアへのニュース・リリースをつくることも大切です。その際大切なのは、記事にしてもらうためにはニュース性が大切だということです。なぜ今、なぜその内容なのか。時代や世の中の人々のニーズとどうマッチしているのかを、少し強調して説明する資料を作成して送った方がより効果的でしょう。それが記者たちにとって、記事として取り上げる最良の理由(動機)となるのですから。
(2013年9月12日)
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