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Art unit that transcends all difference. The one and only work in the world

廃材を使った「haREco」をはじめとしたアート作品を制作

今わたしは、週2回アトリエで自閉症の男性と創作活動をしている。
彼は、一人でアトリエまで電車できて、部屋の掃除をして、創作をして、おやつをたべて、
商店街にお昼を買いに行って、昼寝をして、創作をして、片づけをしてお茶を飲んで帰る。
時々、近くの神社でボーッとして、お客さんと話したり、商店街をまわったり。
彼がこの環境に慣れるとともに、近隣の商店街の人々もだんだんと彼に親しんできて、今は彼一人で商店街のパン屋にお昼を買いに行ける。
手先が起用で、掃除や制作も何事も私よりずっと上手だ。
意思相通がうまくいくときといかないときがあるけれど、一つの作品を完成させるというテーマを共有して未知の美しさに2人で向かっていけているので、私たちはうまくやれているように思う。
0から一歩創造するということはとても難しく、障がいのある人でも健常とよばれる人でも創造性のある人はなかなかいない。この創造に挑戦できる機会はとても貴重で、めぐり合わせだ。

アトリエの制作風景

私の役割は、創造力(クリエイティブ)を使いながら、表現の点をつなぐことで、より多くの人々に作品や価値を届けることである。

より最適解につながるように、あらかじめ素材や道具を準備して、この限られた時間の中で、彼とその表現に挑戦していく。
どう展開していくのか不確かな中、ジャズのセッションのように、互いに即興でアレンジをしてグルーブ感ある作品をつくっていく。

創造することは、かなりエネルギーを必要とする作業なので、アトリエ後は疲れてしまって2日間がちょうどよい。

ルールにしばられた人にとっては、挑戦するということは恐いことでもあるが、障がいのある人は、人と比べたり、いいものをつくらなければならないといった固定概念にしばられないので怯まない。はじめの一筆をあっという間にいれて、迷いなく描ききっていく。

前例のないやったことないことに挑戦することでしかイノベーションやあたらしい表現は生まれない。たくさんいらないことに挑戦して可能性を探っていくことが新しいクリエイティブをつくっていく。

アトリエの窓辺

どちらが、えらいということでなくフラットな関係性の中で協働することは、今の時代大切なことのように思う。限定させるのでなく、シェアするほうが大きな意味で、居心地がいいし、いっしょにつくる協働には、自分たちだけでなく、他に波及させていく、地域や社会に波及させていく可能性がある。近くの工場から資材を提供してもらったり、地域の人が手伝いにきてくれたり、一人でパンを買いに行けたり、つながりの中で成り立っていくことは実際沢山ある。つながりは根源的にはしあわせということ。協働することで、個人の限界を超え、カベをトビコエルことができるはずだ。

リラックスしながら手を動かす、想像力と手仕事のクリエイション。
わたしたちの毎日は、笑ったり、怒ったり驚いたり生きる喜びと愛にあふれている。

2022年9月に2年ぶりにイタリア・トリノに行ってきました! LABORATORIO ZANZARAのアトリエにて

(2022年10月18日)

今後の予定

2022年11月19日 東京文化会館リラックス・パフォーマンスのイラスト/デザイン企画を担当しています。
https://www.t-bunka.jp/stage/16006/

関連リンク

アート×福祉~ひろがるアート 目次

1
アートと福祉の大海に漕ぎ出す話
2
Art unit that transcends all difference. The one and only work in the world
3
一緒ならきっと飛べる
4
アートと貧乏
〜周縁化された人々とアートはどのようなかかわりを持つのか
5
医療の場でともにつくること
6
96歳の俳優と、まだ見ぬ演劇を求めて
7
表現と気づかいから生まれる、よく生きる技術
8
ともにつくる「みんなでミュージアム」


9
一人とともに動き、一人とともに考える。
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