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わたしの小さなアートマネジメント

 こんにちは。ナスマサタカさんよりバトンを渡してもらいました、トイミュージック演奏家*イマイアキです。
 このコラムのテーマは「アートマネジメント」。
 最初おうかがいしたときは、自分のやっていることをどう人に見せる、伝えるのか、ということなのかな? と思いました。
 さきほど調べてみましたら、企業がアートを支援する、というような、どうやらもっと大きいことのようです。でも自由に、と言っていただいているので、最初に自分が思った「アートマネジメント」について書いてみようと思います。

 私は今、ちょっと変わったスタイル(ワンマンバンドと言われる、1人でいろんな楽器演奏するスタイル)で演奏しています。いわば、楽器というメンバーで構成された「私楽団」といった感じです。
 そういう風にしようとしたのではなく、だんだんにそうなっていきました。思えば、それが私の「アートマネジメント」だったのかもしれません。

 「私楽団」の様子を、ざっとご紹介してみますね。
 まず、アコーディオンを持って椅子に座ります。重いです。
 そして右側に折りたたみ机を置き、その上に赤いトイピアノ、さらにその上に鉄琴と、タッチ式のベルを置いています。
 そして、譜面台を置き、その上にアンデス、という笛のような音がする鍵盤ハーモニカのような楽器を設置します。靴もパーカッションとして使っています。右足の靴の踵に、瞬間接着剤でカスタネットを、左足の踵にはタンバリンをつけ、踏み鳴らすと、音が出る仕組みに。また右足のつま先には、ゴムで鈴を30個くらい結びつけ、シャンシャンいわせます。それらの音を組み合わせて演奏しています。

音が出るおもちゃを使って
音が出るおもちゃを使って
机の上のトイピアノと譜面台の上のアンデス
机の上のトイピアノと譜面台の上のアンデス
「パーカッション靴。右かかとにカスタネット、左かかとにタンバリン、右つま先に鈴
パーカッション靴。右かかとにカスタネット、左かかとにタンバリン、右つま先に鈴

 聴いてくれた子どもたちに「ねえ、そんなんして(そんな格好で演奏して)恥ずかしくないん?」と聞かれることがあります。 子どもは正直...。そんなにヘンなんかなあ? と、考えてみても、もう慣れてしまってよく分かりません。
 さあ、どうしてこんなヘンテコな格好で演奏しているのか、思い出してみましょう...。

 私は、最初、エレクトーンを弾いていました。でもある日ある曲を聴いて、雷に打たれたように「ピアニストになろう!」と思い、練習練習、また練習で、芸大のピアノ科へ。しかしクラッシックの壁は高く、とにかく難しい。弾くだけで精一杯で、それ以上先へ進めない。どうしたらいいのか。活路を求めて、ジャズの道へ。バンドを組んだり、お店で弾いたり、なんとかものにしようともがくこと数年。
 弾けども弾けども、人から「いい!」と言われることもなければ自分で「いい!」とも思えることもなく。
 どうしたら私の音楽に光が見えるのか...、迷い、悩み、暗くなり。
 起死回生! と私がやったことは「楽器を変えてみる」でした。同じ鍵盤楽器のアコーディオンです。自分にはひっくりかえるような金額でしたが、エイヤーッ!ヤアッ! とローンで買い求めました。
 すると...! やっぱり人生はハイリスク、ハイリターン!
 ピアノのときにはどうしてもできなかったこと、☆作曲☆が、なぜかできるようになったのです。ヤッター! びっくり。天からの贈り物。
 とても素朴な曲たちなのですが、お話しするように、いくつかのメロディーが生まれました。
 はじめて、人の評価以前に自分で自分の音楽は、いい! と思えました。
 子どもの頃、一緒に暮らしていた小鳥や鼠の思い出、読んでもらったおとぎ話、我が子の小さなお顔...。そういう小さな懐かしいものを、アコーディオンが小さな音楽物語に仕立ててくれるのです。
 見慣れて飽きている、と思っていた自分のなかの、ある小さな世界に、まだ入ったことのない細い路地を見つけたような感じでした。
 そんなときふと、小さな頃に一日中ポロピンガチャリラ...♪とかき鳴らしていた赤いおもちゃのピアノを思い出しました。
 思いついて、机にのっけて横に置き、アコーディオンの左手を弾きながら、右手でメロディーを奏でてみました。いい感じになりました。こんな風にトイピアノが私楽団のメンバーになりました。
 しばらくすると、もう少し違った音色も欲しくなり、鉄琴もピアノの上に置いてみました。アコーディオンの左手を弾きながら鉄琴を弾くのは難しかったですが、練習すればできるな、と思いました。鉄琴も私楽団のお仲間に入りました。

 そんななか、アコーディオンにはたくさんのボタンがあるから面白いのか、はたまた蛇腹の動きが気になるのか、演奏していると、小さな子どもたちがまわりに集まってくるのに気づきました。中にはリズムに乗って踊ってくれる子どももいます。
 すっかりうれしくなって、もっと子どもたちを面白がらせよう! と靴にカスタネットとタンバリンをガムテープでひっつけて交互に踏み鳴らしてみました。
 子どもたちは「どこから音が鳴っているの?」という感じで私のまわりをキョロキョロみています。やったあ~! と思いました。ヘンテコパーカッション靴も私楽団のメンバーになりました。
 子どもの前だけでなく、大人の前でも弾くようになりました。いい感じで盛り上がっているほかの演奏者さんの時間。でも私の番になると盛り上がらない...。悩み、ある方にどうしたらいいのか...。相談すると「やっぱり見せ場がないとね、ライブにならないヨ」と言われ、考えたのがトイピアノの速弾きや、アンデスを新メンバーに迎えいれて、トイピアノ、アンデス、アコーディオンと、メロディー楽器をさまざまに変えていくこと。
 大人の方も「おおっ!」と面白がってくれたり、いろいろなおもちゃ楽器の音を「懐かしいわ」と言ってもらえることも増えてきて楽しんでもらえている! と、ほっとしました。
 そのうちクリスマスに演奏することも多くなり、クリスマス感を出そうと、ベルもメンバー入り。そのほか、曲によって面白い音を出す笛や小物楽器もゲスト出演。

 思いついたり、気づいたり、必要にせまられたりで今のちょっとヘンテコリンなワンマンバンドスタイルができあがっていきました。
 できあがってきたけれど、演奏が続く限りまた少しずつ気づいたり必要にせまられたりで変わっていくのかな、工夫していくのかなあと思います。
 見た人が少し「わあっ」と思ってくれる、愉快な気持ちになってくれる、そんなことを探しながら、同時に自分のなかにある小さな世界の、まだ入ったことのない路地を探しながら、私の小さなアートマネジメントは続きます。

(2014年8月20日)

今後の予定

10月19日神戸市垂水区Pilina
12月7日こどものための博物館 キッズプラザ大阪にて演奏予定。詳細未定。
来年以降、アトリエ ピアノ ピアさんより楽器提供して頂いている足踏みオルガンでなにかやってみたいと想像中。

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自然農のお野菜。いつも購入しているシンガーソングファーマー「ささやき村農園」さんのお野菜が大好きで気になっています。

次回執筆者

バトンタッチメッセージ

同い年のすごい人。JIJOさん。そしてとっても良い方。
これからますます才能が爆発するのでは、と注目しています☆♪!
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