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アートマネジメントのインターン現場レポート
~世田谷パブリックシアター 2024(4)

今夏、夏休み期間中に世田谷パブリックシアターでインターンをする学生から寄せられるレポートをご紹介しています。第4回は長期・ダンス・サーカス公演、ワークショップコースの2名のレポートです。

※インターンの詳細はこちらから

Aコース [長期]ダンス・サーカス公演+アートファームワークショップコース

立教大学 文学部文学科2年
加藤咲希さん

今回2つの招聘公演とワークショップにインターンとして携わらせていただき、多くの学びと印象的な出来事がありました。

特に印象的だったのは、「シアタートラムで発表ができるなんてすごい」というワークショップに参加してくれた子どもの感想です。今回携わらせていただいたワークショップの内の一つ、『みんなで遊ぼう!棒のダンス』では、シアタートラムを使用して4日間のワークショップと発表を行いました。劇場で子ども向けのワークショップを行うことは、稽古場以上に気をつけなければならないことは多く、大変な点もありました。しかしこの感想を聞き、この劇場でワークショップをやることの意義に気づかされました。観劇に来てくれた子どもたちが客席から見ていた舞台に立つことができれば、より劇場に愛着が湧き、劇場とのさらに深いつながりが生まれる。そんな、子どもたちと劇場の接点が増える瞬間を目の当たりにしたように感じました。
この経験から、まだ観劇に対する敷居の高さを感じる人が多くいる日本で、このように幼少期から劇場と接点を持つ機会を増やす事ができれば、日本の舞台芸術をさらに盛り上げていくことができるのではないかと強く思いました。

今後、さらに日本の舞台芸術界を盛り上げていく一員になれる様、この経験を活かして挑戦を重ねていきたいです。

日本大学 芸術学部•演劇学科4年
山口沙葉さん

インターンシップでの最大の学びは、現代サーカスに関する理解が深まったことと、公演事業と学芸事業のつながりを実感できたことの2点です。

私は大学で演劇を学んでいますが、インターン参加前は現代サーカスに関する知識がほとんどありませんでした。一般的な演劇作品に触れる機会が多く、現代サーカスが舞台芸術の一部であることを十分に認識していなかったからです。活動を通じて、日本における現代サーカスの現在地や、広めていく難しさを知り、パフォーマーだけでなく、サーカスの専門知識を持つ技術者やサーカス公演ができる劇場の育成が必要だと強く感じました。

また、サーカス公演と子どもへのワークショップをサポートする中で、ワークショップが公演観劇の動機になった方々や、その逆のケースがあることを知り、両事業の相乗効果を学びました。公演を観るだけでなく実際に出演者と交流したり体験したりすることで、より舞台芸術に対する親近感を持つ人を増やしていくことができるのだと思います。

インターンで得た知識を活かし、今後、自分がどのように舞台芸術を広めていきたいのか、あらためて考えていきたいです。

世田谷パブリックシアター担当者コメント
酒井敦美

Aコースでは、ダンス・サーカス公演およびワークショップの長期コースとして、およそ3週間で2つの公演と3つのワークショップにご参加いただきました。

公演はいずれもカナダ・ケベック州からの海外招聘サーカス公演で、マシーン・ドゥ・シルク『ゴースト・ライト』とル・グロ・オルテイユ『図書館司書くん』のファミリーフレンドリーな2作品。ワークショップは、公演に関連したもののほか、親子向け、こども向けの『ASA-CHANGのタイコで遊ぼう』と小学生向けの5日間のプログラム『みんなで遊ぼう!棒のダンス』(最終日に発表会あり)を行いました。

短期間に複数の企画が詰まっていたため、インターンのお2人には一つひとつの事業についてていねいな説明がないまま進んでいくこともありましたが、自分なりにそれぞれの事業の必要性を感じ取り、考えを深めてくださったことをうれしく思います。
特に、加藤さん、山口さんがともにあげてくださっている「公演とワークショップの相乗効果」や「体験を通して劇場に親しみを持ってもらう」という部分は、アートファームにとってはとても重要なポイントで、お2人がそれを理解し、参加者の子どもたちに寄り添い、よりよい劇場体験になるようサポートしてくださったこと、とても心強く感じました。

インターン終了後も積極的に学んでいこう、学んだことを活かしていこう、という姿勢が見えたこともすばらしく、お2人からの質問や反応に私も多くの気づきや刺激をもらいました。

近い未来に、また舞台芸術の現場でご一緒できる日を楽しみにしております。

(2024年10月28日)

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