ネットTAM


アートマネジメントのインターン現場レポート
世田谷パブリックシアター 2023(4)

先日よりスタートした、2023年度 世田谷パブリックシアター夏休みインターンの現場
レポート。

ネットTAMでは、参加者が学んだことや得られた気づきなどの所感と、受け入れ側の
世田谷パブリックシアターのインターン担当者のレポートを合わせて、ご紹介しています。

今回でインターン連載も最終回、Dコースの演劇ワークショップコースをご紹介いたします。

Aコース:落語とダンスコースのレポートはこちら
Bコース:ミュージカルコースのレポートはこちら
Cコース:ミュージカルコースのレポートはこちら

Dコース「高校生のためのエンゲキワークショップ」

東京都立大学 人文社会学部 會田梨乃さん

3日間にわたるインターンのなか、最終日の打ち合わせで印象的なやり取りがありました。ワークショップの進行にあたって何か目標設定しているのかということを進行役の柏木さんに尋ねたところ、あえて決めていないということをおっしゃっていたことです。背景には、ファシリテーターが考え方を限定することなく、参加者それぞれの視点における自由な感じ方や発想を互いに受け入れ、共有できる場にしたいという考えがありました。

実際に進行に携わる方々は、高校生の自由な表現を皆で楽しめる環境にするために言葉がけやふるまいを常々工夫しており、私もそれを参考にしながら、試行錯誤のなかで高校生とかかわりました。とくに聞き書きの演劇創作で高校生と話し合いを進めたときには、自分の言動が創作の追い風になっているか振り返りつつ、その配慮がとても繊細で難しい作業であることを知りました。

演劇を通して子どもとかかわる仕事をしたいと漠然ながら考える私にとって、高校生と創作をともにし、その難しさも体験できたことは、今後私が学ぶべきことを考えていくうえでの指針になっています。

世田谷パブリックシアター担当者コメント:中村麻美

高校生のための演劇ワークショップは、参加している高校生同士が互いにインタビューし合い、そこから演劇を立ち上げるという内容でした。普段は違う学校に通っている高校生たちが15人ほど集まったので、はじめはとても緊張感があったように思います。そのような場に、いわゆる「スタッフ」というのではなく、「ちょっと年上の先輩」として飛び込んでもらい、昼休み時間に率先して高校生の輪の中に入り、和やかないい空気感をつくるように努めてくださったことは大変助かりました。参加者がリラックスしてその場にいられるか否かは、表現活動においてとても重要なことです。その人がその人らしくいられる場をどのようにつくるかが、創作活動をするうえでの鍵となります。「場をつくる」ことの難しさ、そしてその大切さをインターンの経験を通して知っていただけたことは、とてもよかったと思います。

この記事をシェアする: