アートマネジメントのインターン現場レポート
世田谷パブリックシアター 2023(3)
先日よりスタートした、2023年度 世田谷パブリックシアター夏休みインターンの現場
レポート。
ネットTAMでは、参加者が学んだことや得られた気づきなどの所感と、受け入れ側の
世田谷パブリックシアターのインターン担当者のレポートを合わせて、ご紹介しています。
今回は、Cコース:演劇コースのレポートです。
(Aコース:落語とダンスコースのレポートはこちら)
(Bコース:ミュージカルコースのレポートはこちら)
Cコース「メルセデス・アイスMERCEDES ICE」
伊東朋子さん
私は今回、舞台の公演に携わるのは初めてだったため、すべてが新しい学びでした。
ケータリングや差し入れの管理を主な業務として行いましたが、自分なりに工夫を加え改善を重ねてみました。具体的には、飲み物や差し入れの置き方を見栄えよくすることによって手にとっていただく頻度が増え、差し入れの背景や品物についてのメモを書き添えることで、キャストさん同士の会話の話題になり喜んでいただけました。公演を作っていく中で、ケータリングも重要な要素の一つだということを感じました。
また、制作の業務を経験するだけでなく、プロの制作の方々の仕事を間近で見て学ぶ機会にも恵まれたのですが、人によって仕事で重きを置いている部分や考え方が違うのだということを実感しました。しかし、「公演を無事に成功させる」ことは共通していました。
今回のインターンシップでは、公演に実際にかかわって経験することで、制作の具体的な業務内容を知り、制作の現場での動き方や心構え、仕事の取り組み方を学ぶことができました。また同時に、仕事を進めて行くうえでのコミュニケーションの取り方についても身につけられたのではと思っています。
藤原太陽さん
私は今回のインターンシップを通じて、舞台制作において常に「コミュニケーションを図ろう」という意識を常に持つことが重要であり、またそれは人と人とのかかわりが不可欠な演劇において、そして制作という業務において特に重要なことであると学びました。
最初は自分が何をしたらよいかわからず、とにかく現場制作の方々からの指示に従って、その中で覚えなければならないことを見つけ覚えるということで精一杯になっていました。しかしその中で現場制作の方々と対話を繰り返すことによって、この人たちが何を見据えて目の前の業務を行っているのか、そしてそのために自分は今何ができるのかということを次第に考えながら動くことだができるようになりました。そしてそれは企画制作という面でも“今人々が求めている作品は何だろうか”ということを考え続けることが大切であると学びました。
今回の経験を通じて、作品にかかわるさまざまな人たちが何を求め、そのために自分がどのように動けるかということを、コミュニケーションを通じて考え動く、ということがいかに重要かということを学ぶことができました。
こどもプロジェクト2023 担当プロデューサーコメント:大下玲美
世田谷パブリックシアターのインターンシップには、長きにわたり、多くの学生が参加してきました。これまでの参加者も多く舞台業界で活躍しています。そして、受け入れる我々にとっても若い世代の感覚や興味の潮流を知りえる貴重な機会となり、刺激となります。
今年から、夏休み期間の大学生向けとなってはじめて長期の演劇創作の現場のコースを設置しました。伊東さん・藤原さんは、学生生活の忙しいさなか、時間を多く費やしてくれ、白井晃芸術監督演出の「メルセデス・アイス」の稽古から上演までの現場を経験してくれました。二人とも、学生ながら平素から舞台鑑賞に親しんでおられる方でしたので、初めて経験する舞台創作の裏側の世界をとても楽しんでくれたように思います。実際に上演の際には、舞台の転換、子供向け体験コーナーの進行などもしっかりと行ってくださいました。
お二人が大切だと感じた「コミュニケーション」の大切さは、まさにクリエイションの現場で最も必要で、最も大切なことです。今回の経験を、次の機会でも生かしてくれることと思います。
舞台芸術界では、若い人材を求めています。しかし学生たちにとっては、舞台芸術の世界で働きたいけれど、どんな仕事があるのか、どうやってこの世界で仕事を得るのか…わからないことばかりだと思います。インターンシップの場などを通して、次代を担う学生たちが、自分のゆくべき道を見つけ出す、未来への一助となればと思います。
今年の参加者の皆さん、ご参加ありがとうございました。