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『週末はギャラリーめぐり』(山本冬彦著、ちくま新書)

急に冷え込んできました。
家であったかくほっこりしながら本でも読みたくなる季節です。

そんな秋の夜長の読書におすすめな一冊を紹介します。
30年間毎週末に東京・銀座界隈の画廊をめぐり、1300点もの作品を蒐集したサラリーマンコレクター山本冬彦さんの著書、『週末はギャラリーめぐり』です。

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目次等詳細はこちら(筑摩書房サイト)

この壁になにか絵をかざってみたい。ここに絵を置きたい。でもどこでどうやって買うの?自分の持っているお金で買えるのだろうか。せっかく買うならいい買い方をしたい―こんなことを考えたことのある方には絶好の入門書。
なにせ、著者の山本さんは、サラリーマンとして働いて得たお金のみでコツコツと絵を集めたとのこと。この自分でも絵が買えるかも、という気になります。売る側でなく、同じ買う側に立つ方の話だからか、なるほどなあとすっと入ってきます。

かつて山本さんのコレクションを見せていただいたことがあるのですが、蒐集した作品のことをとても楽しそうに語ってくださいました。本書に「観るアート」と「買うアート」という話がでてきますが、私が初めて「買うアート」を身近に感じたひと時でした。

早くから"個人メセナ"を提唱してこられた山本さんは、自分の楽しみだけにとどまらず、作家支援という観点からもコレクションなさっています。最近は、「アートソムリエ」として、創リ手支援だけでなく、一般の方々にアートの楽しさを伝える活動も精力的に行っておられます(そういえばTAM最終回スピーチ大会優勝者の提案もアート・ソムリエでしたね!)。
第55回リレーコラム竹本清香さんの「芸力」のことや、第56回リレーコラム中西研大郎さんの「イコール」のこともでてきます。さすがのアンテナですね。

長い年月をかけて作品を集め、作家を応援し、関係者を励まし、アートの楽しみをたくさんの人に伝え、人を発掘して世に送り出してきた山本さんの著書。読書の秋、アートの秋にぜひどうぞ!

※2010年1月14日から2月21日まで佐藤美術館で山本さんのコレクション展があるそうです。

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金澤アートイベントカレンダー「イコール」の2009.8-9月号(上写真)の特集は山本さんでした。







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