2009年「踊りに行くぜ!!」(Vol.10)の開催概要決まる
NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)が毎年開催している、全国ダンス巡回プロジェクト「踊りに行くぜ!!」の本年度開催概要が、オフィシャルサイトで発表された。なんと今年で10年目!
公式サイトによると、「踊りにいくぜ!!」の企画目的は以下の通り。
・全国の振付家/ダンサー/パフォーマーが、違う都市において公演を重ね様々な反応を得ることによって、作品及びアーティストが育っていくこと
・全国のアーティスト間、スペース間、アーティストとスペース間の新たなコミュニケーションが生まれること
・各地域の孤立をなくすこと
・各地域の観客に未知のアーティストや作品を紹介することにより、ダンスへの理解が深まり、観客自体が育っていくこと
・アーティストにとって地元以外での単独の公演やカンパニー公演が日本各地で行われるようになること
・既成のダンスにとらわれることなく、オリジナリティのある動きや新たなダンスの価値を創り出すこと
この10年でコンテンポラリーダンスを取り巻く環境はだいぶ変わったが、「踊りに行くぜ」がその変化に果たした役割はとても大きいと思う。
上記に謳われていない、JCDNが当初意図していなかった副次効果も、生まれているのではないだろうか?
たとえば、開催地の地域資源の発掘&「見える化」。
踊りに行くぜは、専門ホール以外の驚くような場所で開催されることがある。ながーい商店街、地元の人にかつて愛された閉店後久しい店舗、連絡船、魚市場など。よくここで開催できたもんだと、毎度脱帽。地元の人にとっても、普段は別の用途でフツウに存在している(いた)場所が、パフォーマンスの会場になるなんて、思いもよらなかっただろう。各地の地元の資源を、確実に見える化してきたと思う。
地元以外の人も、何やらおもしろそう!行ってみようかな、と遠くまで観に出かけるわけで、観光誘発効果もあったかもしれない。かくいう私も、去年は青森県八戸市鮫町の鮫第一魚市場(さめだいいちぎょしじょう)まで観にいってしまった。
そう、私にとっては踊りに行くぜは、「観にいくぜ!!」なのだ。
日本屈指の水揚げ量を誇る現役魚市場が会場。とにかく長い。
↑屋根のギザギザが印象的。 ↓対岸の倉庫も演出で使用。
もうひとつ、「よし、ひとつここはやろう」という、開催地にとっての「きっかけづくり」になっているようにも思う。
鮫町では、地元の方々がなんと回り舞台ならぬ「回り観客席」を作った。ながーい会場をダンサーが縦長にも使えるよう、なんと観客席を90度回転するというアイディア。当日は、お客さんを乗せたまま、見事人力でくるりと回った。地元の実行委員の方々にとっては、「やってやるぜ!!」なのかと思う。
回る客席
同時開催されていたお祭り関係者のおじちゃんが、祭りで踊っていた方々に「踊りに行くぜ」のチラシを渡してPRしていたのも、とってもよかった。
(八戸鮫公演のYou Tubeはこちら)
どちらかというと、ダンサーとその関係者の視点で始まった「踊りに行くぜ!!」は、いまや「観に行くぜ!!」、「やってやるぜ!!」でもあるのではないかと思っている。