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芸術文化振興条例策定のあり方に一石投じる>東京都小金井市の例

イベント情報掲示板(BBS)に、芸術文化市民講座「小金井発!芸術文化を書くこと/伝えること講座」公開成果発表会のお知らせを投稿いただいた。

この市民講座、ただのカルチャー教室ではない。意味合いがまったく違う、大変先駆的かつユニークな背景をもつ。

東京都小金井市は2007年に「小金井市芸術文化振興条例」を施行。これを具体的な施策に落とし込むべく「(仮称)小金井芸術文化振興計画」の策定に取り組んでいる。策定にあたっては、市民による委員会で議論を重ねるほか、市民アンケート調査や公聴会の開催等も実施。そして、より多くの市民に、振興計画あるいは芸術文化そのものへの関心を高めてもらうために、この「芸術文化市民講座」を開催しているというわけだ(詳細)。

条例と振興計画の策定にあたって、小金井市は東大大学院・文化資源学研究室と共同研究契約を結んでいる。自治体としては、文化政策の専門家の全面的な協力を得ることで実践的な振興計画を立案・推進できれば大きい。一方、大学にとっては日頃の研究の成果を本当の現場で実践・検証できる貴重な機会となる。

自治体は場を提供し、大学は知を提供する。互いに得るものは大きい。

自治体の文化振興計画の策定にあたって設けられた諮問委員会に、大学の先生方が個人で名を連ねていることはよくあることだが、小金井市のケースで注目したいのは、研究室と契約を結び、若き研究者である優秀な大学院生らが事務局として参画していることだ。

その案件に多くの時間を割き真剣に考える若き優秀な知が結集したら、数え切れないほど役職を兼務し1つの案件にかける時間が少ない高名な専門家にまさる働きをするのではないだろうか----先般、振興計画策定の一環として彼らが運営を担う前述の市民講座にうかがって実感したことだ。

講座はたいへん丁寧に運営されていた。WEBでの情報発信、ブログの開設、資料の作成、受講生とのコミュニケーション。やりっぱなしにせず各回の講座内容を要約&アーカイブ化。連続講座なので、受講生対象に参考文献の貸し出しコーナーも設置されていた。院生ならではの発想ときめ細やかさに関心するばかりだった。

こうして大事な案件を任せられて、実践的な経験を積んで若い研究者が伸びていくのだなあと、小金井市と文化資源研究室の共同研究契約のもうひとつの意義を感じた。小金井市のご担当者も、彼らを信頼し任せておられた(これもすばらしいことだ)。

日頃からフットワーク軽くいろいろな催しに出向き、新たな人と出会ってネットワークを広げ、日々刺激を受ける。ITに強く情報収集と発信に長け、人種も国境も言葉の壁も難なくクリアしてしまう。若い世代の動向に強い。大胆な発想と柔軟性、適応力、挑戦する気力・体力にあふれている.........こんな若者のエネルギーと強みが、もっともっと日本のアート業界、文化政策の重要な場面でいかされたらいいのにと強く思うこの頃だ。

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