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第35回リレーコラム萱野志朗さん

昨日(11/14)付朝日新聞夕刊の連載記事「ニッポン人脈記:ここにアイヌ」に、第35回リレーコラム執筆者・萱野志朗さんが出ていた。人に焦点をあてて一つのテーマを連載で掘り下げるニッポン人脈記。現在はアイヌがテーマで、第3回目の昨日は「言葉よ歩け ラジオから」のタイトルで萱野さんの取り組みを紹介している。

リレーコラムにも登場した「FMピパウシ」や「FMわぃわぃ」のことが書かれている。この記事を読んで、萱野さんがコラムに書いてくださったことの背景をより深く知ることができたので、いくつか報告したい。

FMピパウシの開設は、「言葉を奪われた者でないと、言葉の大切さは分からない」と、文字をもたないアイヌの言葉が失われないよう古老の声の録音や辞書編纂に取り組む志朗さんの父・茂さんの願いだった。日本語でも不自由ないと思っていた志朗さんだったが、29歳の時に、自分たちの言葉を残そうと同じように苦心するカナダの先住民族を訪問したことがきっかけとなり、父の夢を実現するにいたったとのことだった。

リレーコラムでも紹介された「FMわぃわぃ」との関係にもエピソードがあった。FMわぃわぃは、阪神大震災で被災した在日外国人たちが、震災情報を理解できず不安そうにしている様子をTVでみた、当時東京の会社員だった代表の日比野さんが立ち上げた。震災の非日常で言葉の大切さに気づいた日比野さんは、FMピパウシの開局を新聞で知り、萱野さんに協力を申し出た。「社会の中で少数者が自分の声を表現するには、すごくパワーがいる。それを少しでも応援して一緒に歩めたら」。リレーコラムに書かれていた提携にはこんな背景があったのだった。

▼アイヌ語によるミニFMラジオ放送「FMピパウシ」 http://www.aa.alpha-net.ne.jp/skayano/menu.html 

▼多文化・多言語コミュニティ放送局「FMわぃわぃ」 http://www.tcc117.org/fmyy/

ちなみに、ピパウシとはアイヌ語で「貝がいるところ」という意味で、萱野さんが生まれた北海道平取(びらとり)町二風谷(にぶたに)のあたりが、かつてそう呼ばれていたとのことである。

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