「最後はまちの人が守ってくれた」>ラ・マレア(横浜市吉田町)
昨日、雨の中横浜市吉田町に最終日の「ラ・マレア横浜」を見に行った。お店が軒を連ねる250Mほどの通り全体を会場とする、一大街頭パフォーマンス。9つのショートストーリーが店舗の中や路上で、同時に、繰り返し上演され、観客は約2時間、好きなように9か所の作品を観ることができるというもの(詳細:公式サイト)。
移動する観客、横切る自転車。観てる人は座ったり立ったり、途中で通りのBARに入って一杯飲んだり。上層階の住宅から通りを眺めるおじさんは、動き回る観客も含めて、もっと壮大な舞台を観ている感じだっただろう。パフォーマンスのこんな楽しみ方があるんだと、傘から垂れる滴に濡れながらも満足。
当日は開始時間に遅れてしまい急ぎ足で会場に向かったのだが、通りの彼方にぼんやりと塊が見え、近づくとそれは大勢のお客さんの傘だった。雨なのにお客さんがたくさんいた。
途中、休憩がてらに入ったBARでは、「今日は撮影なの??」とお客さんに尋ねられたマスターが、タブロイド大の「ラ・マレア横浜」のチラシを広げながら、「これはアルゼンチンの・・・」と一生懸命説明していた。
主催団体のスタッフはみな若手。何か月も前から、準備に準備を重ねてきた。この発想力、ディレクション力、実行力、制作力、調整力にはひたすら脱帽だ。雨合羽を着て、びしょ濡れになりながら会場を忙しく動き回っていた。アルゼンチンから来日した演出家(やはり若い)も雨合羽姿であちこち行き来していたのが印象的だった。最後まで真剣勝負、屋内でふんぞり返ってなどいないのだ。
かなりの音量なので、どうやって通りの住民に理解を求めたのかスタッフに聞いてみたところ、各家庭への案内ポスティングや町内会との連携、何か起きれば個別に対応してきたとのこと。警備は警備会社に頼んだそうだが、近くで例年開催される大道芸のお祭を警備してきた事情通の会社だそうで、なんとも心強い。
前例のないことにトライする過程では、気の遠くなりそうな調整ごとが多々あっただろうが、雨合羽姿の新人制作担当スタッフは、「最後はまちの人たちが守ってくれました」と、笑顔で話してくれた。
(主催:急な坂スタジオ、共催:アーツコミッション・ヨコハマ、吉田町町内会、吉田町名店街会)