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評価の手法

第6回リレーコラムで、ニッセイ基礎研究所の吉本さんが「最近の"評価"ばやりには、少々うんざり...」と書かれていましたが、アート分野の「評価ばやり」はまだまだ変わらないですね。私は、以前は評価の"手法"に目がいっていたのですが、今はもっぱら"なぜ"の部分です。何のために評価をしようとしているのか。

評価を行う理由はさまざまですが、「次年度の予算請求の前に必要だから」というのもあったりして、もっともな理由ではありますが、何だか本来の意義からズレていないか?とも思ったり・・・。

先日、現在公開中の第4回TAMSEEDの編集作業をしていて、ふと考えたことがあります。

トヨタ・アートマネジメントでは、1996年から2004年春まで全国各地でアートマネジメント講座を開催してきたのですが、数年に一度、その記録を『トヨタ・アートマネジメント講座の軌跡』という冊子にまとめてきました(本書の内容は現在ネットTAMの「開催講座一覧」にすべて掲載)。この冊子には、各地で講座を企画・運営してくださった地域コーディネーターの<数年後の振り返り文>を掲載してきました。評価用語で言えば、「事後評価」の「自己評価」にあたるでしょうか。全講座の<振り返り>を読むと、「ある一定期間を置き、当事者本人が該当案件を振り返って分析すること、それを文字にすること」は、効果的な検証法ではなかろうかと思えてきたのです。

シンプルですが、詳細をもっとも把握している当事者自身が、「あの時」を振り返って冷静に分析し、現在にどのような影響があったか否かを言葉にする。日々忙しいとなかなかできないことですが、実は評価の一手法としてかなり有効なのではないでしょうか。 

ネットTAMでは、現在、さらに時間を置いた2度目の<振り返り>をお願いしています。それが「TAM SEED」です。最新回の北海道演劇財団平田さんの場合、1996年にTAM vol.2を開催、翌97年には会議録発行、98年には『軌跡』で2年前の講座を振り返り、そしてこのたびの「TAMSEED」で12年前を振り返ってくださっています。ある企画を、こうして定期的に振り返りることの意義・効果についても、ネットTAMでは考えていけたらと思っています。TAM SEEDを連載しつつ・・・。長年継続しているトヨタ・アートマネジメントならではの検証にしたいと思います。

ともすれば結果を急ぎがちな評価。でも、本当に必要なこと--特に成果や効果、意義などは、そんなにすぐには見えてこないと思います。これまでのTAM SEEDを読んでも明らかです。

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