ネットTAM

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山口セッション

評価システムを評価する

―21世紀型の公共文化施設を目指して―
開催日: 2004年2月 7・8日
開催地域: 山口
会場: 山口情報芸術センター
ジャンル: 総合
参加者数: 153人
コーディネーター: 山口情報芸術センター 岸正人

山口情報芸術センターは、建設中に3ヶ月に及ぶ工事中断と「見直し」論議を経て、2003年11月に開館しました。その過程で多くの議論を巻き起こした施設なのだから、今後の公共文化施設のあり方を問うセッションにしたいと、「評価」をテーマとすることを提案させていただきました。

TAM開始より8年の間で公共文化施設を取り巻く環境も大きく変わって来ています。貸館型ではない拠点施設の増加やミッションの必要性が叫ばれる一方で、自治体の予算削減に伴う文化予算の見直し、指定管理者制度の導入や独立行政法人化など、存在そのものを問う状況にも置かれて来ています。いずれも、その施設や事業をどのように評価するかが問われていると言えます。

そんな時期的にも注目を集めているテーマだったため、かなり遠方も含め広域から多くの文化施設や行政関係、劇団やNPO関係、「見直し」に関わった方も含めた多くの市民にご参加いただくことができました。

基調講演を始め、各地の事例報告、そして、つなぐNPOによる「公共施設の通信簿YCAM版」評価ツアーと、参加者のみならず開催側自らが参考になることが多く、企画から開催に至る過程も含め非常に勉強になりました。また、講座は、参加者も含め活発な議論をいただくことができました。半年を経過したいまでも、資料のお問い合わせをいただいています。「文化施設の通信簿」ツアーも、他文化施設でも開催の予定と伺っています。

「評価」は、公共施設として避けては通れない課題であり、個人的にもまたYCAMとしても、引き続き取り組んでいかなければならないと考えています。合わせて、YCAM独自のアートマネジメントに関する講座も今年度中に開催を計画しています。TAM山口セッション開催で培ったノウハウやネットワークを今後の事業や施設運営に生かすことで、「評価」に値する魅力ある文化施設としたいと思います。

[山口情報芸術センター シアターディレクター 岸正人/04年8月]

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