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神戸セッション

芸術の基礎体力

―アートマネジメントのABC
開催日: 2000年3月 3・4・5日
開催地域: 神戸
会場: 神戸アートビレッジセンター
ジャンル: 美術
参加者数: 480人
コーディネーター: 神戸アートビレッジセンター 木ノ下智恵子

「アートを育む」重要なファクターとしてのアートマネージャーには、広報担当・技術者・経営者・創造者・鑑賞者といった、さまざまな役割をインタラクティブに使い分ける、しなやかでしたたかな心と身体が求められます。今回の神戸セッションでは、この至難の業を演じ分けるために、自身の中でのグラデーションを見事に使いこなしながら、オルタナティブな精神に則った独自の横断的な活動を続けている「アーティスト、ディレクター、ライター、メセナ経験者、画廊勤務経験者」の方々と共にプログラムを組みました。独自の経験から得た「人、モノ(場)、金」の有益な活用法を洗い出しながら、アートに携わる様々な事象を網羅していく中、出てきた唯一無二のキーワードが「芸術の基礎体力」でした。

アートと向き合う情熱を形にし、第三者に伝え、他者と価値の交換を行うために立ち上がる意欲がことの始まりです。そのビジョンを形にしていく上で、自身の経験に基づいた知恵袋こそが、最も有効なマネジメントといえます。その前提として心と頭と体を鍛える集中トレーニングが3日間の講座でした。ここでは、アートの現場でご活躍の講師陣を迎え、『アートマネジメント』にまつわる事象を基礎講座的に展開していきました。その結果、当初予定90名を遙かに超える300名近くの参加申し込みを受け、3日間の講座は、所属や年齢層共に実にバラエティーに富んだ顔ぶれの参加者の方々と共に、大盛況の内に終了いたしました。本講座を通じて、流行り言葉のように氾濫している『アートマネジメント』という漠然とした言葉の意味が、講師陣、参加者の方々の意見によって明確になっていったように思われます。また、その各人の『アートマネジメント』のイメージを実体験する場として、実際にアートプロジェクトを立ち上げるワークショップ「芸術の基礎体力 自主トレ編」を約1年という長期に渡って開催しています。自分が信じるアートの魅力をいかにして第三者に伝えるか。新しい価値観の創造に繋がるような緩やかなアウトリーチの模索と共に、未来に向けての種まきが、今始まったばかりです。

[神戸アートビレッジセンター美術担当 木ノ下智恵子/00年7月]

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