ネットTAM

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東京会議2002

アートマネジメント教育

現場が求める人材とは
開催日: 2002年10月31日
開催地域: 東京
会場: オリベホール
ジャンル: 総合
参加者数: 224人
コーディネーター: TAM運営委員会

4年ぶりに東京で開催されたTAM。各地のセッションでは扱いきれないマクロな問題を取り上げるのが総合セッションの位置付けだが、あくまで等身大かつタイムリーな問題にこだわるTAMの現場主義は、今回のテーマとして日本におけるアートマネジメント教育と職業的な現場との溝を取り上げることとした。

アートマネジメントを専門に教える講座が日本の大学に開設されて10年。いまやアートプロデュースの学科や文化政策の学部が続々と増え、大学院も含めて「アートマネジメントを専攻した」と称する専門家の卵たちが世に輩出される時代となった。しかし現場はこうした人材を受け入れる環境が整っているとは言いがたく、心情的にもためらいや否定論が根強い。「専門学科を出たとはいえ、新卒者が即戦力になるのか?」「教室で学ぶアートマネジメントなど、役にたたない」「マネジメント以前に、アートに対する情熱は本物か?」----こうした逆風のなか、夢を抱き純粋な意欲に燃える若者たちを育てる大学側は、どのように考えているのか?

10時間におよぶ東京会議は多くの学生たちがつめかけ、会場は朝から熱気を帯びた。「大学と現場の対論」形式で始まった討議は、人材バンクに関する産学協同研究の報告のあと、円卓会議へと続き、大学と現場をつなぐシステムとしてインターン制度が取り上げられた。

この日の会議を通じて確認されたのは、今後、両者の連携が深まり人材が往来する回路ができると、「学部を卒業⇒現場での職務経験⇒大学院でのリカレント教育」という人材育成システムだけでなく、「現場の経験知⇒専門研究機関への情報提供⇒研究成果を現場にフィードバック」という専門的研究の発展も期待されるということである。即戦力云々の近視眼的議論から脱却し、より長期的な展望を共有することで、両者の心情的な溝はかなり埋まった感がした1日であった。

[文責:TAM運営委員会ディレクター・熊倉/04年8月]

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