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広島セッション

コンサートって何?

―クラシックの音楽会について徹底的に考える―
開催日: 2001年10月 21・22日
開催地域: 広島
会場: アステールプラザ
ジャンル: 音楽
参加者数: 150人
コーディネーター: 広島市文化財団 武村綾美

トヨタ自動車(株)という民間企業との共催事業であったこと、実施主体の3者(ディレクター、メセナ協議会、当財団)が東京、広島と離れている状態で企画・準備を進めたことなど、私にとっては、今までに経験したことのない形での事業だったが、この事業にかかわったすべての方の協力で無事、事業を実施することができ、心から感謝している。

担当者としての反省点は数多くあったが、定員を超える応募があり、事業が盛会だったことが、全ての苦労や失敗を払拭できるほどの喜びだった。予想以上の大きな反響の原因は何だったのか、自分なりに考えてみたところ、1.プログラム内容の充実、2.アートマネジメントへのニーズ、3.効果的な広報、の3つが思い当たった。

1のプログラムの作成については、十分に話し合った上で、最終的にはディレクターにまとめていただいた。そのため、一貫性があり、しかも、実験的なワークショップも含んだレベルの高い内容となったと自負している。2については、「アートマネジメント」へのニーズが、考えていたよりも大きかったという、うれしい誤算であった。音楽の分野に限らず、演劇、美術などさまざまなアートにおいて、「マネジメント」の必要性は高まっており、そこに携わってみたいという人も増えていると言える。3の広報であるが、特に目新しい手法は使っていない。ただ、例えばDMを出すにしても、音楽関係者からこのような事業に興味をもっているような人を紹介してもらったり、過去に同種の講座を実施したところから情報をもらうなど少しでも参加の可能性が高いような人、団体を探してDMを送った。地道なやり方ではあるが、確率は高かったように思う。

地域と芸術活動をつなぐコーディネーターであるアートマネージャー。アートマネージャーが育てば、音楽において聴衆とアーチストをつなぐ一番の接点である「コンサート」プログラムが充実し、クラシックコンサートが抱える大きな問題点である、観客の減少傾向に歯止めがかかるのではないだろうか。クラシックは敷居が高い、難しいという先入観なしに、多くの人が自由に楽しむことができる環境づくりのために、アートマネジメントの重要性はますます高まっていくと痛感した。

[(財)広島市文化財団文化事業部事務課 武村綾美/02年9月]

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