アートマネジメントの力
開催日: | 1998年7月29・30日 |
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開催地域: | 東京 |
会場: | 東京国際フォーラム |
ジャンル: | 総合 |
参加者数: | 688人 |
コーディネーター: | TAM運営委員会 |
3年目を迎えたトヨタ・アートマネジメント講座のひとつの節目として開催された「東京会議 '98」は、これまで各地で提起されてきた問題をふまえ、これからのアートマネジメントの方向を提案する場として企画された。
通常のTAMのセッションは、演劇・美術・音楽、いずれかの芸術ジャンルに特化して企画されるが、普段はアドバイザー役のディレクター達がみずから企画したこの「東京会議」では、芸術分野の垣根を取り払うクロストークを試みた。「市民参加」「観客創造」「社会のドア」という、アートマネジメントの今日的な3つのテーマのもと、各ジャンルの論客が一堂に会し、それぞれの方法論やヴィジョンを提示、400人をこえる参加者を前に、熱い討議を繰り広げたのである。
パネリスト達はいずれもジャングルの処女地を切り開いてきた強者ぞろい。その報告はアートマネジメントが常に新たなチャレンジであり、道なき地をゆく冒険に等しいものであることをうかがわせる。アートマネジメント待望論があちこちで聞かれる昨今だが、今回の会議では、アートと社会の関係をより緊密にするには、単に出会いの数を増やせばいいという次元をこえて、両者の関係の質を変え、相互浸透を深めるという次のステップに進まなければならないことがさまざまに指摘された。
アートマネジメントが本領を発揮する新たな段階に向けて、脱皮の方途を探った東京会議。さまざまな方向性が示唆されたが、いずれも平坦な道はなさそうだ。痛みを伴わぬ脱皮はないのかもしれないが、「アートが少しずつ自由になることは、社会が少しずつ自由になることに違いない」という共通認識が確認され、次なる一歩を踏み出す勇気を与えてくれた2日間であった。
[文責:TAM運営委員会ディレクター・熊倉/99年7月]